今後の食品流通システムへの含意は,①災害に強い小規模店を存続させ,多様な食料供給主体を確保する,②大型スーパーやコンビニエンスストアの災害対策を向上させる,という2つの面に分けられる.前者については,各小規模店の経営努力と消費者の判断・行動に委ねる,という形にならざるを得ないが,今回の災害で小規模店が果たした役割と,普段の購買が小規模店を存続させるという点を,全国の消費者に広く知らせることが肝要であろう.
後者の,大型スーパーやコンビニエンスストアの災害対策の向上について,本研究からは小規模商店と比較した営業の阻害要因(売り場面積の広さ,停電に対する脆弱性,意思決定の複雑さ)が部分的に提示されたが,今回の災害での対応行動や流通システムに関する情報が不足しており,本稿において十分な議論は行うことはできない.この点については,今後の研究課題としたい.