以上の記述からは、阪神・淡路大震災以降に批判されてきた一方向の情報伝達モデルが、南海トラフの巨大災害に関する新想定の公表時に、依然として改善されていなかったことがわかる。この問題に対処するためには、専門家・行政は、ニュートラルなリスク評価という魔術を通して、ただ一人危険を知る神としてではなく、2つのリスクの間を往還しながら、地域住民とともにアクティブなリスクを分かち合うパートナーとして地域住民の前にあらわれる必要がある。