政府は、上記の環境変化を踏まえ、復興基金の原資に公的資金を投入するという従来にない対策を採った。第3 次補正予算で、復興基金創設のために1,960億円が被災9 県に配分された。岩手、宮城、福島各県にはそれぞれ420 億円、660 億円、570 億円が配分された。取崩し型の基金とし、約半額は被災市町村に再配分することとされた。阪神・淡路大震災における基金による10 年間の総事業費実績が約3,600 億円だった(しかも「被災者生活支援法」が適用されなかった)ことを考えると、決して少額ともいえない。使い方によっては被災者の生活復興や漁業・農業を含む産業復興に大いに資すると思われ、被災地に目配りした点は評価できる。しかし、その運用が行政に一任されているので、町村によっては通常のインフラ整備費と同じように使用される懸念もある。