2.住宅信用地震保険(共済)制度の創設
住宅信用地震保険(共済)は住宅に係る二重ローンを回避する制度で、住宅ローンの借り入れの際に加入を義務付け、今後発生する地震により住宅が損壊すれば、そのローンを損壊の程度より消滅させ、被災者を救済することを目的とするものである。住宅ローンを借り入れる場合には、死亡による返済不能リスクをカバーするため団体信用生命保険(共済)への加入が義務付けられているが、この仕組みを地震・津波リスクにも適用しようという発想である。その設計に当たっては、現行の地震保険(共済)制度とは区分したうえで、住宅信用地震保険(共済)の取扱機関が住宅信用地震再保険会社に出再し、更に国に対して再出再するスキーム(図1)である。同時に住宅信用地震保険(共済)により弁済を受けることが可能となる金融機関や、支払い義務が消滅する団体信用生命保険(共済)の取り扱い機関もこの再保険会社に対して拠出を行い、制度の健全化を図ることも必要であろう。なお、制度設計の際に注意すべきは、保険(共済)によるモラルハザードを防止する観点から、防災力の高い住宅建設を促進するためのインセンティブを保険料(掛金)体系の中に組み込む工夫が必要である。また、この制度による補償はローン残高に限定されるので、資産価値に見合う補償を受けるためには既存の地震保険(共済)との併用が必要となる。