本稿の分析から,外国人の退避行動の意思決定には,情報収集に利用した言語との間にある程度の関係性が見られたが,日本語と英語の習熟度との関係性は明確ではなかった.また,個人属性の違いも国内外の退避行動の意思決定の割合にある程度関連していたことが明らかになった.しかし,本稿の分析からは災害情報収集過程と個人属性のどちらが退避の意思決定により影響を及ぼしたかまでを言及することは難しい.実際は,災害情報収集と個人属性の様々な要因が総合されて意思決定が行われる.本研究の今後の課題として,多変量解析などを用いて,複数の要因の中での影響の大きさを定量的に分析する必要がある.