ほとんどの残留世帯は確かに元の居住地にとどまることを望み,とどまってきた.しかし当初の残留意向は必ずしも現時点での定住意識につながってはいない.標高の高いエリアに居住する世帯の大半は,日常的な近隣との接触や人の気配の喪失を意識しており,また移転世帯との交流も減少あるいは消滅させている.これらのことが「とどまりたい」という意向を変質させ,定住意識を低下させてきたと考えられる.