阪神・淡路大震災の既往資料から病院間における傷病者搬送実績に着目し,病院分布状況や搬送距離や搬送手順について抽出した.その結果,阪神・淡路大震災では,震源地から約40km 圏内の病院,または,震度7 の地点から10 ㎞圏内の病院では,その規模によらず数百名~1000 名の傷病者を受け入れていた.また,それらを囲むように被災地内病院からの傷病者搬送を受け入れた病院があり,これらは比較的規模の大きな病院であった.さらに,被災地周辺には自ら被災しながらも傷病者を直接受け入れ,かつ,より損傷の激しい病院からの傷病者搬送を受け入れる役割を担った病院が存在した.これらが現在における被災地内外の災害拠点病院の具体像につながったと考えられる.